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あるピアノの発表会で、小学2、3年生くらいの子どもが「今日は弾きたくない」とごねているのを見たことがあります。母親がオロオロして「たくさん練習したのだから、みんなに聴いてもらおうね」「お父さんも褒めてくれるよ」などとなだめたものの効果はなく、最終的には「お願いだからママの言うことを聞いてちょうだい」と哀願して、やっと子どもをステージに連れて行くことができました。母親には安堵の表情が浮かんでいましたが、これでは本当に解決したとはいえません。むしろ子どもに悪影響を与えてしまっているのです。

一般的に子どものわがままは、親への依頼心から生じたものです。こんな時に親が「お願いだから・」と子どもに屈してしまうと、わがままを増長させるだけなのです。同様に「やりたくないだろうけど、親のためにやって欲しい」というのも、親のエゴを押しつけているだけです。子どもは、親が思っている以上に敏感です。その影響はすぐに表面に出なくても、のちに親への反発や手の打ちようがないわがままを生み出す原因となってしまうのです。

子どものわがままを断つには、時に強行戦法が必要です。例えば食事に対してわがままを言う場合、時間内に食べきれなければ片付けてしまい、泣こうがわめこうが何も与えません。これを3日間も続けると、出されたものをきちんと食べるようになり、好き嫌いも言わなくなります。親が下手に出れば、子どもになめられるだけです。親が毅然とした態度を示すことで、子どもも「わがままは通用しない」と悟るのです。